Rigaku AFC-7R equipped with a Mercury CCD system
Glass Column for Chromatography
ここには多くのガラス製カラムが置かれている。カラムによる物質精製用のサイトである。最も良く用いる用途は、合成錯体の精製とイオン交換である。例えば、ある系統ではtris(2,2'-bipyridine)ruthenium(II)を含む分子デバイスの合成を行っているが、その合成生成物にルテニウム二核錯体とルテニウム単核錯体が混在する場合が多々ある。そのような場合には、それらを一端PF6として析出させ、Sephadex LH-20を用いて分子ふるいわけクロマトグラフィーにかけるのが好都合である。ゲルろ過クロマトグラフィー(排除クロマトグラフィー、分子ふるい分けクロマトグラフィーなどども呼ぶ)では、多孔性樹脂を用い、分子サイズの小さいものはその空孔に取り込まれるため、その分保持時間(Retention Time,カラムの中に保持されている時間)が長くなる。それに対し、分子サイズの大きい物質ほど空孔への取り込みの頻度因子が低く、そのため保持時間は短くなる。結論として、まず、二核錯体が先に溶出し、単核錯体が次に溶出する。他の白金多核錯体系においても、PF6塩として回収でき、金属核数の異なるものを含む混合物系に関しては同様の原理が適用可能となる。通常の吸着クロマトとは異なり、分子サイズに強く依存する分離法である。ただし、物質によってはそのゲルへの化学吸着性が特異的に強いため、吸着によるゲル汚染を引き起こしやすいケースも希にある。特に配位結合が安定な白金錯体のうち、配位子置換反応を起こしやすい系では、どうしてもゲルへの錯体吸着が避けられない。ゲルは比較的高価であるため、一回使用するごとに使い捨てというわけにもいかないので、同じ化合物群には同じ回収ゲルを用い、自身の試料が異物でコンタミネート(汚染)する可能性を極力下げる工夫が必要である。他方、このサイトでは、錯体のカウンターイオンの交換も良く行う。この研究室では主としてカチオン性金属錯体の研究を行っているため、それら化合物のカウンターアニオン依存性について検討する必要性をしばしば生じる。一般には、PF6塩として回収し、それをCl-塩やNO3-塩に変換して用いる。PF6-塩のイオン交換体への選択係数が高いからである。