A photograph of complex


<色素分子フタロシアニンの三層積層型希土類金属二核錯体の合成とエレクトロクロミック特性>

フタロシアニン(Pc)は平面環状構造の有機色素分子で、種々の金属イオンと結合して錯体をつくります。Pc錯体の多様な性質への関心は高く、新しいPc錯体の合成や特性解明を目的とする基礎研究から、機能物質として実用化を目指す応用研究まで幅広く行われています。私達は、機能物質の開発を目標とし、新しいPc錯体を合成して光学特性や電気化学特性について研究しています。
Pcはサイズが大きい金属イオン、例えば希土類(III)イオンとサンドイッチ構造の積層型錯体を形成します。最近、私達は8つのブトキシ基を持つPc(obPc = A)と、置換基を持たないPc(= B)から成る三層積層型Lu(III)錯体(上図のAAA型やBAB型錯体など)を合成し、溶液中で電気化学的に酸化還元して、これらの錯体の可逆的な色の変化(エレクトロクロミズム)を初めて観測することに成功しました。現在、その応用性も含めてさらに詳細な研究を進めています。

●研究者情報(九州大学)