《シリンジフィルターを用いた濾過の仕方》



・050207更新


・ろ過の際、ゴミが詰まってないのにピストンが固くなる件について。
                 (空気抜きの必要性)

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1,シリンジの空気抜きについて

2,Q&A


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1,シリンジの空気抜きについて

ゴミが詰まってもいないのにピストンが固くて、ろ過が思うようにいかなくなる場合があります。
これはシリンジフィルターに空気が入っているために起こる場合がほとんどです。
(1) 通常の場合、このようにしてフィルタ全面に溶液がまわって、
ろ過が行われます。




(2) しかしながら、フィルタの付け替え時にフィルタ内に溶液が多量に残っていたり、
シリンジの先に空気が入っていると、2回目以降のろ過の際にフィルタ内に
空気が入ってしまいます。

この空気が入っている部分は溶液がフィルタと接していないためろ過ができません。
そのため、空気が入った面積の分、ろ過の効率が落ちてしまいます
結果、ピストンが固くなってろ過が困難になってしまいます。



(3) そのような場合は一度ピストンを引っ張り、フィルタ内の溶液を全部抜きます。
そうするとフィルタ内がすべて空になり、次に水を押し出す際に
フィルタ内全面に溶液が満たされるようになります。

 それでも内部に空気が残る場合は、引っ張る動作を2〜3回行うと大丈夫です。



(4) このようにすれば、フィルタにゴミが詰まって物理的にろ過が不可能になるまで
繰り返しフィルタを洗浄して使うことができます。


また、フィルタ内にゴミが詰まった場合、上記の操作を繰り返すと、
ゴミがフィルタのすみに押しやられ、フィルタ面が露わになって
ろ過が容易になる場合もあります。


0.20 μmのフィルターの方が0.45 μmのフィルターよりも固いので、
用途に応じて使い分けた方がサンプリングがスムーズに行えます。


ただし、このように懸濁物質などゴミが
フィルターに詰まっている場合は
空気抜きをしてもろ過効率の向上は望めません。

空気抜きをしてもピストンが固いままな場合は
新しいフィルターに取り替えて下さい。




3, Q&A

いままでに送られた質問にお答えします。



・ 〈滴下水採水に関して〉 ポリタンクの一つは満杯で、もう一つはほぼ満杯、残りも満杯に近い状態でした。どうしたらよいでしょうか。

 満杯のポリタンクはデータシートに『満杯』と記入しておいて下さい。
また、測定項目で最も重要なものは酸素同位体比になります。これの年間平均値を求めることが必要です。
 得られた滴下水の量と、その中に含まれる酸素同位対比が測定毎に分かれば、一年を通じた測定分を合算することで年間平均値を導き出すことができます。

(この部分に関してはまたWebページの方で説明を補足します
                               ……また後ほど(050207現在)


ですので採水時のポリタンクの水位(滴下水の量)を記録して頂ければ、残りの滴下水は必要ありませんのですべて捨ててタンクを空にして下さい。むしろタンクに滴下水が残っていると最終的に合算したときに総滴下水量に誤差を生じる恐れがあります。




・ 採水に時間がかかりますので、ポリタンクから試料水を未使用のビニール袋に、空気が入らない様に入れて持ち帰り、研究室でボトルに詰めるというのはいかがでしょうか(電気伝導度とpHだけを洞窟内で測定するという方法です)。

 ビニール袋だと破けたり漏れたりする場合がありますので、こちらから500 mlのポリ瓶を送りますのでそちらに保管するようにして下さい。空気が入らないように注水して運搬するには適していると思います。使用したものはMilli-Q水ですすいで乾かして頂けると再利用できます。


ですが、今回使用したシリンジフィルターが0.20 μmですので、濾過に余計に時間と握力がかかってしまったかも知れません。野中先生との取り決めでフィルターは0.20 μmのものを使用することにはしていますが洞窟内の作業で大変なので、より迅速に濾過できる0.45 μmものが良いかと思われます。


250 mlのボトルと一緒に0.45 μmのフィルターも送ります。おおよそ、5分程度で濾過は完了するかと思います。次回採水の際にお試し頂けると幸いです。(050307送付)




・ もし、より大きな注射筒とこれにつくフィルターがありましたら型番(製品番号)をお知らせ下さい。それとも、あまり大きなフィルターは使えないでしょうから、この制限で今の大きさの注射筒・フィルターを使っているのでしょうか。

注射筒・フィルターの大きさには制限はありませんが、コスト・利便性を考えて今の規格に落ち着いております。もしゴミが詰まってフィルターの濾過が固くなった場合は取り替えて使用して頂けるとよろしいかと思います。


特に洞窟の滴下水だと不溶性不純物は少ないので、0.45 μmのフィルターを一箇所の測定につき2〜3個持っておくとスムーズに濾過が可能かと思います。

ただ、フィルターに空気が入ると濾過が難しくなりますので、
濾過中、たまに“空気抜き”をして頂けるとより濾過が容易になると思います。
空気抜きに関してはページ上部(ここをクリック)をご覧下さい。




・ 温度測定用のボールが一つのポリタンクには一つしか入っていません(残り二つのタンクには二つ入っています)。今の状態でよろしいでしょうか。

今回は温度計を始めて運用しておりますので、不測の事態を考えて予備を入れております。本来なら1個で十分です。ただ、予備が無くなったので最後のポリタンクには一つしか入れませんでした。

このまま1年以上継続的に15分おきの気温を測定することが可能ですが、次回西表に伺った際に回収して、新しいのを一つづつ入れる予定です。
ですので今の状態で問題ありません。




・ ユツン洞窟近くでヤマネコの道路横断用のトンネル工事が行われています。多分影響はないと思いますが、次回来られたときに判断してください。

酸素同位体比は温度によって左右されますので問題ないかと思います。しかしながら成分分析には影響があるかも知れません。
次回調査の際にチェックしておきます。お知らせ下さりありがとうございました。


以下順次追加予定。質問はこちらまで。



文責とか:くりさきぃ(九大吉村研)


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