All Automatic Hydrogen-Analyzing System
All Automatic H2-Analyzing System
本システムを製作した経緯には酒井の学生時代の経験が大いに関係している。学生時代には1時間置きに行う手動の試料注入作業につきっきりで十数時間続けるなどの過酷な生活を過ごしたこともあった。それもある意味良い経験であり、また、良き思い出でもある。しかし、測定の再現性や定量性を考慮すると、やはり自動測定システムの開発が重要であると考えた。これが成蹊大学に助手として着任した直後のことであった(1991年)。当時、錯体化学会の懇親会において、その分野の第一任者である大瀧仁志先生が言われた言葉を今なお鮮明に覚えている。「最近は自身の研究装置を自己開発することのできる研究者が極めて少なくなってきた。これは問題である。」とのご発言をされたと記憶している。その後、数年間の苦労を経て、1994年初頭に一号機が完成した。当時は一定流量で通ずるArガスの流通速度を石鹸膜流量計にて計測する、幾分古典的な部分を残したものであったが、それでも十分に利用価値のあるものとして用いるようになった。その後、流通ガス流量をかなり精度高く制御できるものが比較的リーズナブルな価格にて市販されていることを知り、それを導入し現在に至っている。結論として、本装置では、光触媒反応溶液を20mlのガラス容器に入れ、装置にセットし、Arガスで約30分間バブリングした後、光照射と自動定量操作を開始する。光照射には、通常、350Wのキセノン灯を用い、ガス分析にはガスクロマトグラフを用いている。一定流量で流通したガスの排出ガスを定期的にガスクロマトグラフに導入し、ガスクロマトグラフに設置の検出器信号アウトプットを自動制御プログラム内にデジタル化した信号情報として取り込み、ピークの面積計算と全体の収集データの集計を行い、時間と共にどれだけの水素ガスが系内に発生しているのかを分析定量することのできるシステムとなっている。現在は、2号機の製作を行っている。自動試料導入装置部分に改良を加えたものを現在設計製作中である。