学科長挨拶

学科長・専攻長挨拶

徳永 信
学科長・専攻長
徳永 信

化学は多様な広がりと裾野を持った学問です。これから先、重要になる資源、エネルギー、環境、機能性材料、ナノテクノロジー、創薬、情報など、様々な分野で化学を学んだ人が活躍しています。化学を学ぶことができるのは理学部以外にも工学部、薬学部、農学部、共創学部など色々な学部学科があります。どの学部でも基礎研究をやっているので、目的や立場の違い、関連している他の学術分野の違いと考えると良いでしょう。
理学部では目的や出口が明確でない研究も自由に行えるという特徴があります。しかし純粋化学しか扱っていないわけではありません。真理探究型の研究から、新物質の合成、物質の持つ新しい機能の開発まで様々な研究が行われています。化学を道具として、様々な分野に研究領域を広げており、出身者が専門家として活躍できる領域が非常に広いのも特徴です。物理学に近い分野、生物学に近い分野、工学や情報科学に近い分野、どこにでも進出できるチャンスがあるのが理学部の特徴です。中学校・高等学校教員(理科)の免許資格が取得できるのも理学部化学科だけです。
私も理学部化学科の出身ですが、研究室を一緒に運営してきた先生方は工学部、農学部、薬学部などの出身です。元の専門は有機化学分野で、金属錯体触媒を用いる不斉合成を行っていましたが、物理化学や化学工学に近い分野にも研究領域を拡げ、機械工学や酒類醸造学などの研究者とボーダーレスに共同研究を行っています。
化学の良いところは、比較的簡単に実験でき、すぐに自分のアイディアが試せることです。世界中の研究者がターゲットとしているような挑戦的な課題もありますが、誰も気が付かなかったアイディア、誰も試みていない新手法の開発なども行えます。自分が世界で初めて合成した化合物、初めて進行した反応、初めて得られた測定結果、初めて得られた知見など、学部4年生で研究生活を始めると、努力次第で次々と成果が得られます。
化学に興味があるけどどこの学部にしようか迷っている人、物理や数学が得意な人、生物学を分子の側面から追求したい人、コンピューターや情報科学に興味のある人など、皆さんの活躍の場として是非、九州大学理学部化学科に来てください。